神経の小部屋

 頭痛は大きく分けて、一次性と二次性に分類されます。一次性頭痛は片頭痛、緊張型頭痛や群発頭痛に代表され、二次性頭痛は髄膜炎やクモ膜下出血などの基礎疾患が存在し、それにより発症する頭痛です。

 一次性頭痛の代表格が片頭痛です。こめかみから目のあたり、あるいは首筋あたりがズキズキと脈打つように痛むことが多いです。締め付けられる感じ、重い感じなどと人によっては痛み方も様々です。吐き気・嘔吐や、光・音・臭い過敏などを伴うことがあります。通常、痛みは強く、日常生活に支障をきたすことが多いです。痛み止めを服用しても効かず、寝込んでしまう重度の頭痛も珍しくありません。

片頭痛の前兆:
 片頭痛患者さんには時に前兆を伴う方がおられます。前兆には、頭痛の前に視野が欠けたり、ギザギザした光が見える閃輝暗点(せんきあんてん)などの症状があります。これらが4分~60分間程度持続した後に頭痛が出現し、視野欠損や閃輝暗点などの前兆は頭痛が始まる前に消失します。閃輝暗点を自覚され、まず眼科を受診される方がおられますが、閃輝暗点は眼の異常で起こるわけでは無いので、眼科での検査には異常は認められません。

片頭痛の原因:
 片頭痛の原因ははっきりとは解明されていませんが、三叉神経血管説が有力です。脳は硬膜という膜に覆われているのですが、その膜に存在する血管の周囲に三叉神経があり、そこに何らかの刺激が作用し、ニューロペプチドという物質が遊離されます。それらの物質によって、血管が拡張したり、炎症が生じます。三叉神経への刺激は中枢へと伝導(順行性)し、痛みとして感じられ、様々な随伴症状も引き起こします。また、さらに末梢の三叉神経へと伝わり(逆行性)、ニューロペプチドの遊離が助長されます。
 分泌されるニューロペプチドの一つにカルシトニン遺伝子関連ペプチド(C G R P)があり、37個のアミノ酸から構成され、強力な血管拡張作用を有します。C G R Pが片頭痛の病態に強く関係しており、C G R Pに対する抗体あるいはC G R P受容体に対する抗体が片頭痛予防薬として、日本でも使用可能となっております。
 誘発因子としては、寝不足や寝過ぎ、疲労、空腹、ストレス、あるいはストレスから解放されてほっとした時、女性なら月経や排卵に伴う女性ホルモンの変動など、様々な因子が挙げられます。片頭痛は重症度も様々です。必要に迫られ、鎮痛剤を頻回に服用されている方もおられるでしょう。鎮痛剤の使用過多が頭痛の悪化を招くこともあります。その場合、しっかりと発作予防をしていくことが大事になってきます。

子どもの片頭痛:
 あまり知られていませんが、子供にも片頭痛は存在します。子供たちは上手く自身の頭痛を表現できないため、周りの大人たちに理解してもらえず、ただ機嫌が悪いだけと勘違いされたりします。子供の片頭痛発作は比較的短時間で治ることが特徴で、発作後は元気よく走り回ったりしますから、さぼり病と誤解されてしまったりします。頭痛の為、朝起きづらく、通学に支障をきたしている子供さんもおられます。片頭痛をお持ちの子供さんの中には起立性調節障害を合併していることがあり、午前中は思うように動けないということもあります。片頭痛がもたらす支障に関し、学校の先生方にしっかり理解してもらっておくことが重要です。
 
 頭痛でお困りの方がおられましたら、受診をお薦めします。